このページを開いた時点で、あなたはベンチャー向いていません。
このようなタイトルの記事を見つけてクリックしたということは、あなたは多少なりともベンチャーを目指すのかどうか迷っているはずです。「いま働いているベンチャーに就職するってどうなの」や、「ベンチャーで働いているってカッコ良さそう」などなど。
でも実はそんなことを考えている時点で、もうベンチャーに向いていないんです。
ベンチャーで新卒?舐めている学生多すぎ!
ベンチャーって、全然甘くないんです。
なぜなのか?を1つずづ、書いていきます。ちなみに、これは私が実際にスタートアップで仕事をして得たリアルな体験談です。誰かから聞いた話でも、ましてやネット上の情報のまとめでもありません。私の目の前で起こったことです。
「ベンチャーは裁量権」→教えられる人がいないだけ
よくベンチャーのメリットとして、「若いうちから裁量権がある!」というセリフが語られますよね。
確かに、裁量権があるのは事実です。が、これは正確に言うと「教えられる人がいない」というだけ。新卒のあなたにいきなり仕事を振るのは、他の誰にも仕事を振れる人がいないからです。
「それがどうしたの?いいじゃん!」という方のために、もっと詳しく説明します。
ベンチャーでは、あなたが朝出社するといきなり「この営業資料で、今月末までに5件商談まとめてきて」と言われます。もちろんあなたは、営業の方法も、電話のとり方も、名刺交換のやり方すら知りません。そんな状態で放り出されるのです。
必死にやればなんとかなる、というのは甘い考えです。野球で素振りだけをしても試合に勝てないのと一緒で、新卒ができるような単純作業(=素振り)だけで商談がまとまる(=試合に勝つ)ことはありません。
あなたが素振りをするよりも、営業ができる人を連れてきてその人に任せた方が「会社にとっては」成果が早く、確実に出ます。大抵の場合、ほとんどの経営者が途中でこれに気がついて「新卒くん、キミはもういいから。中途採用の別の人に任せるよ」となるのが普通です。
これが「裁量権のあるベンチャー」の現実です。あなたは裁量権を得たつもりかもしれませんが、実のところ何も得ていないのです。
「ベンチャーはスピード感」→仕事がコロコロ変わってスキルゼロ
「スピード感のある仕事ができるのが魅力」とも言われますが、これも現実は間違っています。スピード感がありすぎて仕事がコロコロ変わり、何のスキルも身につかないのが現実です。
私が実際にスタートアップで仕事をしていた時の話をしましょう。スタートアップでは、「売上を立てる勝ち筋」を見つけるのが大きな課題になります。つまり、勝ち筋を見つけるまではひたすら試行錯誤するしかありません。こんな感じです。
- イベントを開く:失敗
- ブログをやる:失敗
- Youtubeマーケティングをやる:失敗
- SNSマーケティングをやる:失敗
- テレアポをやる:失敗 …etc
試して、失敗して、また試して、失敗する…ということを繰り返します。当然、経験者ではない新卒のあなたがやるのですから、どれをやってもクオリティは低いまま。改善する前に「この施策はダメだね」になり、別の施策が始まります。スピード感がある、というのはこういう状況のことを言うのです。
そのため、あなたは「失敗して改善もできなかった、趣味レベルのスキル」しか身につかないまま終わります。なので、後から転職しようとしても語れることがありません。「どの施策でもみんな失敗しました」にしかならないからです。
ダメなら転職する、という人がいますがそれが通用しない理由がこれです。
あとは当たり前ではありますが「ベンチャーなら好きな仕事ができる」のも間違っています。施策が間違っているなら、あなたが好きな仕事だろうとその仕事はなかったことになりますから。
「ベンチャーは将来性」→あなたの将来も危ういです
「それでもベンチャーには将来性があるよ!」という人がいます。が、これもほとんどの場合は間違っています。間違っていなくても、あなたが思わぬところで辛い思いをします。
あなたが入社したベンチャーが、本当に革新的で5年後には上場できる企業だったとしましょう。ところが、そんな企業でも世間からは厳しい目で見られます。
例えば、クレジットカードの審査には時間がかかるでしょう。賃貸契約でも、入居を断られる物件があるかもしれません。不動産を購入してもローンが組めないかもしれません。全て、会社に信用がないからです。
さらに、もっと厳しいのは恋愛もできない可能性が高いこと。あなたがいくら革新的な企業で働いていると思っていても、周囲の人はそうは思ってくれません。何よりベンチャー企業というのは就業規則が壊滅的なケースが多く、土日出勤や残業は当たり前です。
なので新しい恋愛のパートナーを作ったり、○○歳までに結婚したい、という夢も叶えられないかもしれません。
少なくとも、ベンチャーに入社する前にパートナーを作っておきましょう。そうしないと「収入が安定しないあなたはお付き合いできません」となるケース、結構多いですよ。
将来性がある、というのはあなたの将来すら犠牲になるかもしれない危険な言葉です。
「ベンチャーなら仲間と楽しく」→辞める仲間多すぎ
それでもベンチャーでインターンをしていると「今の仲間と楽しく仕事がしたい」という思いを捨てきれない学生も多いでしょう。ですが、それも間違っています。
まず、同じ仲間とずっと仕事がしたいなら「ベンチャーではなく大手に行くべき」です。離職率は大手の方がずっと低い一方で、ベンチャーであれば社員の何割かが常に入社したり辞職したりして、出入りしていることは珍しくありません。
先輩や後輩もできないことも、よくあることです。入社があなたの後に続かないのであればそもそも後輩ができないですし、先輩が辞めてしまうのも日常茶飯事でしょう。
さらに経営者であっても仲違いすることもあり、決して「ワイワイ楽しく」なんてものではありません。そもそもベンチャー企業そのものが不安定なので、数年後に会社が解散する可能性も非常に高いです。
それよりも、いったん大手企業でスキルを貯めてから戻って来る方がよほど楽しく一緒に仕事ができるケースが多いのが実際のところなのです。
ベンチャーに新卒で入るとどうなるのか
では、今まで流れをまとめます。
- 仕事は教えてもらえません
教えてくれる人がいないんです
- 転職は難しいです
2週間おきにやることが変わるのが当たり前。スキルは身につきません
- 給料が安い、残業も休日出勤も当たり前
彼女も彼氏も作れない。結婚の夢もお家の夢も諦めた方がいいかも
- 好きな仕事は一瞬でおしまいです
ベンチャーだろうと仕事は仕事。結果がダメなら止めるだけです
- 楽しい仲間はすぐに辞めます
先輩も後輩もいない。それで仕事ができないなら事実上、クビ
つまり、地獄みたいな環境でやるのがベンチャー企業なのです。
意識高い系就活生が、大手から落ちた言い訳に入ってよい世界ではありません。
それでもベンチャーで活躍している人がいるのはなぜ?
ですが、それでも世の中にはベンチャー企業で活躍している人がいます。それはいったい、どういう人なのでしょうか。
私の身の回りにもいますが、以下のような特徴があるようです。
1.人よりずっと、献身的になれる
それは自分の恋愛や、日常生活の不便を捨てても、仕事に打ち込んでいける人のこと。献身的な優しさと愛情を持つ人です。初めてのことでも、並外れた行動力で文句一つ言わずに行動できる人。そういった人は脇目も振らずに、仕事に打ち込みます。
実際、そういった人はこんなページなど読まないんですよ。今やっていることに対して疑問を持つ時間すらないからです。なので、冒頭の部分で以下のように書いたのです。
このページを開いた時点で、あなたはベンチャー向いていないですよ。
こんな疑問を持っている時点で、あなたはすでに勝負に負けているのです。
2.卓越したスキルを持った、どこかおかしな人
さらに、もう1パターンあります。それは、クレイジーなほどのスキルを持つ仕事人間です。これは技術者、いわゆるエンジニアに多いです。
これら「オタク」は、言われなくても毎日仕事に関係することを考えています。文字通り寝ても覚めても考えており、そのためには恋愛ができなくても、家がなくなっても良いとすら思っています。
私の知っている人では、人の三倍コードを書くのが早いのに毎日違う時間に寝ている人(昼夜逆転は当たり前)や、居酒屋に行ってもデータ分析方法の話しかしない(それ以外の話は一切しない)人などがいます。…まあ、普通じゃないんですよね。
たぶん、ここまでの長文を読んでいる時点で、あなたはこのタイプには当てはらないと思います。
新卒でベンチャーの前に「献身的になること」を覚えよう
「じゃあ、自分はもうベンチャーで働く機会はないのか…」と思ってしまったあなた。
実は、そんなこともないのです。
あなたがベンチャーで働きたいと思ったのは、少なからず何かに貢献して仕事をしたい、と思っているということです。その気持ちはベンチャーで働く上で、決して欠かせない考え方でもあります。
「なんとなく新卒ベンチャー」の前に、「自分は日常生活を投げうってでも、これだけ仕事に人生を費やせる」と思えるほどに仕事に献身的になれる理由を見つけましょう。単に新卒で大手よりも活躍したい、というよりももっと深いところにその理由があるはずです。
そして、それは新卒である必要はないのです。別にあなたは誰かと競争をしているわけではありません。大手企業であっても、本当に優秀な人は仕事に献身的で、きちんと向き合っています。それを見習って、習得してからベンチャーに転職するのも間違ってはいないはずです!
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