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人事が語る、本命にも役立つ「就活の滑り止め内定」をもらう方法

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就活の「滑り止め内定」は全く問題ナシ

就活をしていて、本命以外のところから内定が出る。いわゆる「滑り止め内定」です。

「これって、何か問題はあるの?」「なんだか申し訳ないな…」と思ってしまう就活生も多いでしょう。かつての私も、そう思っていました。

しかし、かつての就活生であり、人事経験者として断言しましょう。
滑り止め内定は、全く問題ありません。

そもそも企業側は学生に断られることくらい、よく知っています。リクナビの調査でも、学生は毎年平均25社程度にエントリーをしているというデータがあります。また、内定も2-3社からもらっているのが普通というデータもありますので、全く不自然なことではありません。

周囲の友人と、あまり就活の相談をすることはないかもしれません。が、意外と周囲の人も複数の内定を持っていたりするものです。なので、問題はありません。

ですが、内定をたくさん持っていればよいというわけではありません。内定をいくらコレクションしても何の役に立ちません(これは経験者として言いますが、本当にそうです。みんな入りたい企業が違うので、自慢にすらなりません)し、辞退の連絡をするのも精神的にしんどいですよね。何より、何度も面接を受けて内定をもらうこと自体、それなりに時間も交通費も使います。

滑り止め内定をもらうにしても、入りたい本命企業のために役立てるような内定にしたいですよね。そのために必要な、いくつかの方法をご紹介します。

企業研究の練習にする

準備は第一志望と滑り止めで全く同じようにやるべきです。当たり前ですが、第一志望と同じ準備をしないと準備になりません。マラソンで速く走りたいのに、100m走のトレーニングをしても役に立たないのと同じです。マラソンで速く走りたいなら、マラソンのトレーニングをしましょう。

就活も同じで、きちんと入りたい本命企業と同様の企業研究をやりましょう。本命企業と違うのは、仮に選考から落ちても許容できる、ということだけです。それ以外は、全て同じようにやりましょう。良い練習になりません。

同じ業界から受けていく

本番と同様の準備をするのですから、同じ業界からエントリーすべきです。全く違う業界で滑り止めをするのは、おすすめしません。理由は、時間の無駄だからです。

別の業界で滑り止め内定をもらうのは「マラソンで速く走りたいのに、サッカーの研究をしている」状態です。もちろんサッカーもある程度上手くなるでしょうが、本当にやりたいのはマラソンですよね?であれば、面倒でもマラソンのトレーニングをしないと意味がありません。

もちろん就活中は不安なので、就活が楽そうな業界で内定が欲しくなるのもわかります。ですが、別の業界で内定を貰っているからといって、安心するのでは本末転倒。意味がないのです。
するべきは安心ではなく、本命企業の対策だからです。安心して本命で対策しないのでは、何のために滑り止めの内定を貰っているのか分かりません。

知名度は気にしない

滑り止め内定をもらいたい時に、企業の知名度は気にしてはいけません。はっきりと書きますが、知名度を理由に企業を選ぶような就活生は、業界・企業研究が足りていません。そして業界・企業研究が足りていない学生は落ちます。

ここは知名度はいったん忘れて「なぜ自分はその業界がいいのか?」をきちんと考え直しましょう。そして、それをどう伝えるべきかを真剣に悩んでおきましょう。そこでどういう言葉を選ぶかが内定の分かれ目です。

同じ業界で選ぶわけですから、考えれば考えるほど第一志望の企業の内定が貰える可能性は上がります。

もし滑り止め内定がもらえたらどうすべき?

順調に準備も選考も進んだとします。そして、滑り止め企業で内定が出そうになったら、どうすべきでしょうか。いくつかのステップ別にご紹介します。

最終選考でも第一志望と言おう

まず最初に問題になるのが、最終選考で「弊社が第一志望ですか?」という質問が出たらどうするか?ということです。

最終選考ともなると、幹部クラスの社員が出てきます。場合によっては社長というパターンもあるでしょう。百戦錬磨の社長相手にひよっ子学生が「御社は滑り止めです!」とは言えないですよね。ここはいろいろな考え方があり、人事界隈でも賛否両論なのですが、筆者は「第一志望です」と言ってしまって問題ないと思っています。

断られたら申し訳ない、嘘を言うことになってしまう…という気持ちもわかります。ですが、まずこれは本番企業の練習なのです。練習と言うからには、本番と同じようにやるべきです。本番企業で「第一志望です」と伝えるのであれば、練習でも同じようにやりましょう。

そして相手もビジネスマンなので、断られるのには慣れているんですよね。ビジネスの世界では、相手と約束しても、実際にお金が動いたり、実行されなければ、どんな口約束でも意味がないのです(もちろん法律的には違いますが、リアルはそうです)。
人事は、就活生が入社日に雇用契約書にサインするまで何があっても驚いてはいけません。それは最初から想定しておくべきリスクです。これは社会人なら、絶対にわきまえておくべきことだと個人的には思っています。
相手が本当の社会人であれば、ここらへんも分かってくれるはずです。

最終面接でも「第一志望です」と言いましょう。

内定承諾書は法的拘束力がないので書こう

内定承諾書はできるだけ引っ張って、期限が来たら書きましょう。ただし、同時に一社までです。

内定がもらえたら、内定承諾書がもらえます。これは期限がついており、「○月☓日までに回答しないと内定は無効」などということまで書いてあります。
実はこの内定承諾書、法的拘束力は一切ありません。なのでサインして提出したからと言って、何か法的な責任が発生するわけでもありませんし、辞退して裁判が起こされることもありません。

じゃあ何のためにやっているのか?というと、内定承諾書は人事が安心するためのものなんです。何人が内定を承諾したのか把握していないと、会社側が人員配置を考えられません。内定承諾書があれば、それを元に入社後の人員配置を企業側は考えておくことができる、というわけです。いわば人事の勝手な都合です。

ただし、何社も内定承諾するのはよくないです。結局は一つの会社に入社するのですから、いくつも同時に内定承諾するのは、何のためにもなりません。何より、断る時に精神的につらくなるのは自分です。複数の滑り止め内定があっても、必ず一社だけ内定承諾するようにしましょう。

「内定辞退をさせて頂きます」とシンプルに伝えよう

第一志望の企業の内定をもらえたら、なるべく早く滑り止めにはお断りしましょう。
精神的につらいのもわかります。ですが、きちんと断りましょう。

どう伝えるべきか?ですが、メールで伝えましょう。電話は担当者の時間をそのまま奪いますが、メールは担当者が好きな時間に読み、返信することが出来るからです。
電話の方が迷惑だと考える社会人がいることも覚えておきましょう。

また、詳細な理由を伝える必要はありません。情報を与えると、企業側がそれを元に引き止めてくることもあります。またゴチャゴチャと長文で背景を書くのも逆効果です。担当者も忙しいのです。シンプルに、内定をお断りすることを伝えましょう。

「検討を重ねましたところ、別の企業とのご縁を感じたため、辞退させていただきます」
「内定のために長時間ご対応頂いたにも関わらず、大変心苦しく思っております」
「末筆ながら、貴社の益々の発展をお祈り申し上げます」

このような言葉で内定を辞退するなら、企業担当者も理解してくれるはずです。

「滑り止め内定」が出ない時はどうする?

さて、就活で百発百中はありえません。滑り止めのつもりでも、内定が取れないということは普通にありえることです。
では、そんな時に何を考えるべきでしょうか?

内定が出ない原因をきちんと探ろう

思った通りに内定が出なかった理由をきちんと探しましょう。「本命企業じゃないから良かった」と喜んでいるだけでは、何も得られません。
企業研究が浅かったのか、それとも間違っていたのか、面接で何か間違った言葉を使っていないか。いくつも気になるところを探しましょう。OBOGなど、頼れる人がいるなら、その人達に相談してみるのもよいかもしれません。

そもそも業界を見直した方がいいかも?

また対策をしたにも関わらず、あまりよい結果がいつまでも出ないのであれば、そもそもその業界が向いていないという可能性もあります。
もちろん、本命企業には全力で準備すべきなのですが、それでもダメなときには、その業界をいったん離れて再検討してみるのもよいかもしれません。

気にしすぎない

そして一番重要なのは、あまり気にしすぎない、諦めないということです。

私の知っている人でも、誰もが知る大企業の六次面接(最終面接)まで行き、落ちたという人がいます。彼は企業研究をきちんとこなし、OBOGにも熱心に会い「あなたと一緒に仕事したい」と言われていました。そして本社のある地方まで何度も面接のたびに行っていたために、彼のショックは相当なものでした。

ですが、彼はその後、諦めませんでした。その経験をきちんと分析し反省して、後につなげたのです。
その後同じ業界の別企業に入り、今でもその企業で活躍しています。それから数年が経ちましたが、彼は「当時は断られた理由はわからなかったが、今ならわかる。入らなくて良かったと思う」と言っています。
就活はつらいですが、そのようなことがよく起こります。断られたのも、次につなげるためだと思えば、結果に繋げられます。

「滑り止め内定」の基本のまとめ

滑り止め就活自体、まったく問題ありません。就活でよく行われていることですし、断るという経験自体、社会人として必要なステップでもあります。

きちんと準備することで、就活を自分のための良い経験にすることができるのではないでしょうか。

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