多くの就活生が苦手意識を持つグループディスカッション。ある調査では、6割の就活生が苦手意識を持っていると言われています。
ただ、これは逆に言うと得意になれば強みになりやすい、ということ。実際に私は就活生として多くのグループディスカッションを経験しましたが、落ちたことは一度もありませんでした。苦手な人はずっと苦手だが、得意な人は意識しなくても受かるようです。
そう、実はグループディスカッションにも「コツ」がある、ということです。
それは問題を再定義して解を出す、ということ。これが出来ていれば落ちることはほぼありません。詳しくご紹介します。
グループディスカッションのやり方「再定義して解を出す」
どんなグループディスカッションも、始めは抽象的で、一言では答えにくいお題から始まります。
答えがどのチームも一緒になるような問題では、そもそも選考にならないからですね。例えば「2+2は?」では、みな4と答えますし、考え方も一緒なので良し悪しはない、ということになってしまいます。
なので、企業側は抽象的なお題を選びます。「日本をもっと元気にするには?」のような、一言では答えが決まらない質問をする、というわけです。
しかし答えが決まらないと言っても、就活生としては一定の、具体的な答えを出さなくてはいけません。「日本をもっと元気にするには?」→「子供を増やします」といった、具体的な質問の答えを出さなくてはいけないのです。
つまり最初の抽象的な「答えられない問題」から、具体的な「答えられる問題とその答え」にどうシフトさせるか?が、グループディスカッションの本質なわけです。
問題の再定義とは、答えられるようにすること
問題の再定義は、よく分からない問いを答えられるようにすることです。
例えば、「日本をもっと元気にするには?」は、よく分からない問いですね。
例えば「日本」が、そもそもよくわかりません。日本人のことなのか、日本の経済のことなのか、日本政府のことなのか。よく考えてみると、いろんな定義ができてしまいます。
同じく「元気」もよくわかりません。元気というのは、経済的な取引が活発なのか、文化的に豊かなことなのか、貧しくても希望を持って暮らしていることなのか…。
この選択肢から一つを選ぶことで、質問に答えやすくなります。
逆に言うと、ここの定義で躓いていると、そもそも質問に答えようがありません。なので「定義する」という作業が必要になります。
「なぜその定義?」を説明できるようにする
ところが、何でも好きなように定義しなおしていいわけではありません。
定義するなら、なぜそうしたのか説明する必要があるのです。論理的な正しさだけでは、おかしな問いが出来上がることがあるからです。下の例を見てみましょう。
「日本をもっと元気にするには?」
→「日本政府が、貧しくても希望を持てるようにするには?」
これは「日本」も「元気」もそれなりに正しく定義しているのですが、組み合わせた結果おかしな問いになってしまっている例です。なので「なぜ日本政府にしたの?」というツッコミが入るでしょう。
きちんと説明できれば、その定義は「妥当=納得できる」となります。相手に納得してもらえば、ビジネスでは十分です。なんでそういう定義にしたの?という問いに、きちんと答えられるようにしましょう。
「再定義する」ようにチームで話すには
つまり、グループディスカッションでは納得感のある再定義をして、答えを考えればそれでよいのです。問題を再定義するのは、そんなに難しいことではありません。「よくわからないことを、質問をする」だけで十分だからです。
「日本を元気にするには?」
→「Q.日本ってそもそも何?日本人?日本の経済?それとも日本政府?」
→「Q.元気ってなに?経済的に豊かなこと?貧しくても希望があること?」
上は全て、「よくわからないこと」を質問しているだけです。実はわかったようで、わかっていないことをきちんと質問するのは重要なスキルです。
自分が今話していることは、きちんと分かっているのか?を考えることで、質問を考えることができるようになります。
「再定義とその答え」を発表する
再定義をして、答えが出たら、それを発表しましょう。なぜその答えに行き着いたのか、どのように定義した理由を、きちんと話すだけで面接官は納得します。
納得させることができれば、十分です。学問的に厳密だとか、論理的にちょっとおかしいとか、そんなことにこだわる必要はありません。
グループディスカッションでの役割分担
上記のように円滑なグループディスカッションをすすめるためには、やはり役割分担を明確にしておくことが重要です。
グループディスカッションにおいては、チームで協力して成果を出すことが求められています。実際のところ、一人スーパーマンがいるからといって、ありがたくはありません。むしろ、会社というのは多くのグループから成り立っているからです。
また、チームで成果を挙げなくてはいけないわけですから、チームに貢献しましょう。お互いにいがみあったり、一言も発言しないのはNG。きちんと貢献しましょう。
なお、あくまで議論を進めやすくするためにやるのが役割分担です。
必要がなさそうであれば、飛ばしたり、別の役を追加しても構いません。あくまでここでは基本的な役割分担についてご紹介します。
司会
司会のゴール:「答えが出る質問とその答えにチームを導くこと」
司会がすべきことは、チームとしてきちんと発表ができるようにすること。つまり、前述の「答えが出る質問と、その答え」をチームで出すように、導くことです。
しかし「答えはこれだ!」とズバッと答えていくことが必要なわけではありません。あくまでチームでの答えを出さなくてはいけないのですから、「質問をする」のが、実際の司会の役割です。
おかしな方向に議論が行っていると感じたら「それって、今ここで話すべきことですか?それは何故ですか?」と質問をしてみましょう。
タイムキーパー
タイムキーパーのゴール:「時間ぴったりに議論を有効活用できるようにする」
タイムキーパーがやるべきことは、時間ぴったりまで議論を有効活用できるようにすることです。時間を余らせてもいけませんし、タイムオーバーになってもいけません。時間を有効に使えるように、チームを導いていくことです。そのためには単に時間を読み上げるのではなく、議論の流れを見て「あと5分ですから、そろそろまとめませんか」などと提案することもタイムキーパーの役割といえるでしょう。
時計だけ見ていればいい、というわけではありません。
また、いらない場合も多くあります。その場合は司会が兼任することになるでしょう。
書紀
書紀のゴール:「議論がぶれないように、言語化して書き出す&発表用にまとめる」
書紀がやることは、言語化です。つまり、議論の中で起こっていることを、言葉にして書くことです。
また言葉だけでなく、起こっていることを図などに書き起こすことも重要といえるでしょう。議論のつながりや、ロジックのつながりを把握して、矢印を使って書いたりすることも、チームの助けになるはずです。
また、最後の発表のためにわかりやすくまとめておくのも書紀の役割と言えるかもしれません。
その他
その他の人のゴール:「チームに全力で貢献して、議論の質を高める」
その他の人のゴールは、チームの議論に貢献することです。つまり、どれだけ発表に向けて前向きに議論に参加し、まとめることができるか、です。
ちなみに、この役になったからと言って選考に受かるチャンスが全くないわけではありません。私はその他の役も含めて、いろいろな役割でグループディスカッションに参加しましたが、どのグループディスカッションでも次の選考に突破しました。
役割よりも、姿勢が見られています。むしろ、姿勢さえ見せることができれば突破できるので、最も楽な役回りと言えるかもしれませんね。
番外編:発表者
発表者のゴール:「チームが考えたことを周囲が納得出来るように伝える」
番外編として、発表者があります。なぜ番外編なのかと言うと、殆どの場合司会が発表をやることになるからです。司会が最も議論を俯瞰する立場にいるわけですから、発表にも適任である場合が多いのです。
ところが、あまりにも司会が心もとない場合や、相手を納得させることができるように話すのが得意な人がいる場合、その人に発表を任せてしまうのもありです。
ちなみに発表者になったからといって選考に通過できるわけではありません。きちんと議論をまとめて、周囲が納得して話せるように伝えることができるか。その点ができるのであれば、誰でもやれる役だと言えるかもしれません。
受かるグループディスカッションの基本的な流れ
グループディスカッションの基本的な流れは、以下の通りです。
「再定義して解を出す」のが勝ちパターンですから、そのような時間を長く取ります。
1.役割分担
上でご紹介したいくつかの役割分担を、チームメンバーに割り振ります。
そんなに時間をかけても仕方がないですし、どの役をやったからといって選考に受かりやすくなるわけではありません。
長くても1分、できれば10秒くらいで決めてしまうのがベストです。
また、自己紹介は会場に着いた時点でやっておくと時間短縮になります。
2.問題の定義
さて、ここを問題の再定義に使います。質問の中で、不思議な単語や、答える質問に変えていくために必要そうな言葉を、ポンポン質問していくのです。
ある程度の合意が取れたら、その定義でいいのかをいったん冷静に考えてみます。それも質問としてメンバーに聞いてみるのがよいでしょう。
3.「答え=解」の精査
抽象的なお題を答えられるような質問に変換できたら、その定義での質問の答えがいくつも出てくるはずです。それを、一定の条件のもとに、妥当そうなものから考えていきます。もちろん、なぜそれが妥当だと思うのかも考えておきます。
ここで、書紀が大活躍するはずです。言葉だけでまとめると空中戦になってしまうので、必ず書き出してもらうようにして、「本当にこの基準が妥当なのか」を考えるようにしましょう。
ある程度まとまったり、時間がなくなってきたら、最も妥当なものを結論として選ぶようにします。
4.発表
発表は、今までまとめてもらった問いと、その解を筋道立てて話します。
途中で何か論理的なミスに気がついたからといって、それを勝手に変更したりするのはおすすめしません。あくまでチームの発表ですから、きちんと話しましょう。
また、質疑応答がありますから、そちらにも誠心誠意対応しましょう。
グループディスカッションにも種類があるが、対策は全く同じ
いかがだったでしょうか。
グループディスカッションでは、話しながら考え、さらにそれをまとめる作業も必要になるため、かなり頭を使う作業だと思われるかもしれません。ですがその分、きちんとこなすことができれば、突破はかなり容易になります。
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