大手とベンチャー、どっちがいいんだろう…。
就活生なら、一回は悩むこの疑問。私も就活生として、大いに悩みました。
それから数年。私は(就活生の時はそんなつもりはなかったのですが)中小企業→ベンチャー→超大手企業と、三種類の企業を渡り歩くことになりました。
その経験から、就活生のみなさんにお伝えできることをこの記事ではお伝えしようと思います。
大手とベンチャー、中小企業のメリット・デメリット
まず、大手とベンチャーの雰囲気やメリット・デメリットをご紹介します。
ちなみに、これらは実際に筆者が体験した実話です。嘘はありませんが、多少偏っているかもしれないことはご承知おきください。
1.大手企業(総合職)のメリット・デメリット
メリット1:雰囲気マッタリ。いい人が多い
すみませーん。
今日スイーツ食べに行きたいんで、定時で上がりますね笑
あのレポート仕上がってるんなら、別にいいよ笑
あと、俺も明日は客先から直帰するから。土日は沖縄旅行だからさ、準備しないと。
(・・・買ってきたお菓子、どこに置いたんだっけ)
大手企業の総合職なら、職場の雰囲気は本当にマッタリです。仕事がキツくて残業がヤバい!みたいなことは、今の大手企業では殆どなくなっています。というのも近年の「働き方改革」の煽りで、とにかく残業しろ、とは会社としてはかなり言いづらいから。上場企業は株主に監視されているので、会社として公式に残業を推奨できないのが現実です。しかも上場企業はすばらしい「勤怠管理システム」を導入していて、残業代の計算も完璧です。
そのうえ、リーディングカンパニー(業界1位企業)ならば何もしなくてもお金が沢山入ってくるポジションを築いています。日本には世界1位という企業が沢山あり、そういう企業で働いている人は無理に働くことはしません。つまり職場環境は超ホワイト、有給もちゃんと取れます。趣味の時間も取れますし、好きな時にお買い物できます。
メリット2:勝手に上がるお給料と、ハイレベルな経営幹部たち
社員
今度、引っ越すことにした!
家賃12万くらいで、広いところ。
社員
ボーナスで150万円入ってる!やった!
…。(年収3,000万円)
大手企業の総合職のお給料は、バンバン上がっていきます。新卒では大した差がつきませんが、3年後くらいからグングン伸びていき、あっという間に500-600万円を突破します。一部の財閥系の商社や金融では、30歳前に1000万円を超える人もいます。
ボーナスも大盤振る舞いで、新卒でも100万近くのお金を一気に貰えるのは普通です。
さらに働いている人たちのクオリティも正直、高いです。
私が実際に働いている会社の幹部には「頭がずば抜けて良いインド人の幹部」や「派手なスーツを着た、年収5,000万超えの財務担当役員」、「世界を飛び回っている白人のおじさん取締役」といった、映画やドラマの中でしか見たことのないような人たちが実際に働いています。彼らは百戦錬磨のLv.99のビジネスマンで、企業社会における戦闘力がカウントストップしているような人たちです。もう、オーラが違います。
もちろん、新卒からそんな人達と一緒に仕事ができるか?というと、それは嘘です。ただ、その人達と一緒の朝礼に出たり、会議を黙って聞いているだけでも「やっぱり違います」ね。「ああ、こういう世界に自分は手が届くんだな」という感じがします。
メリット3:新卒にかける金が段違い。転職もしやすい
はい、じゃあ今日はこのツールの使い方覚えましょうね。
これ利用料300万/月だから、粗末にしないようにねー
人事部からお知らせです。
スポーツジムも英会話も社員なら無料です!
プログラミング研修やります。この教材は本当なら10万/月なんだけど、社員はタダで使えまーす。
大手企業では新卒の教育にかける金が他とぜんぜん違います。これは、転職にも有利になるのです。
例えば、上場会社が使うものの中には毎月の利用料が数百万円を超えるものや、数億円かけて導入するような設備が沢山あります。こういった、特殊ながらも最高級の性能を持つ設備や、ツールを使える人は当然ながら少ない。なので、仮に転職するとしても有利に働きます(プレミアがついて、お給料が上がりやすい)。
それ以外にも社員専用の福利厚生は手厚く「昼食は食堂でタダ」「英会話もスポーツジムもタダ」「プログラミング教材もタダ」といった、お得になることは沢山あります。英語やプログラミングを殆どタダで覚えることもできるので、当然ながらこれも転職時に有利になるわけです。
デメリット1:仕事が細分化されすぎている
ここ、直しといて。あ、Aさんの許可とってね。
あとここも。これはBさんに稟議まわしといて。
最後に、こっちも。まあ、これは次の会議の議題にするか。
はい!
(…え、そんなに?こんな単純なことなのに?)
大手企業だと仕事がバラバラになっていて、全体像が掴みづらいことがよくあります。これは「仕事にやりがいを感じづらい」ということでもあります。
総合職の場合、ジョブローテーション制度があるので一つの部署にずっといることは少なく、スペシャリストは育ちにくいです。その代わりに「なんでもそこそこ」なゼネラリストになります。早い話が、素人にも出来るように仕事が細分化されているのです。
そのため、何年経っても「仕事の全体像がわかりにくい=何をやっているのかいまいち分からず、やりがいを感じられない」ということが起こります。なので、一部のブロガーやインフルエンサーがやたら大企業を叩いているわけですね。脱サラが流行る理由もこれです。
デメリット2:気遣いで回っている世界
えー、あの人に相談した方がいいよね、これ。後から文句言われたら嫌だし。でもメール送っても見てるかわかんないよね。
とりあえず、チャットでメンション飛ばして後で声かけよっと。
えーっと。「☓☓部□□課△△グループ ○○ ○○様」って、あれ?グループ名これで合ってたっけ?ヤバい、ちゃんと確認しないと。
…結局確認して送ったけど、めんどくさいなあ。
大手企業における仕事は、半分以上「気遣い」で回っています。部署名もそうですし、きちんとした名前、メールの書き出し、何かを始めようとした時に誰に声をかけるか、連絡手段は何がベストか、などなど…。
もちろん、あれこれ気を利かせるのが好きな人はいいかもしれません。が、もともと大雑把な人やスピード感が好きな人は辛いものがあります。毎日地獄のように辛い、というわけではありませんが、やはり気になることはあります。
また色んな人に報告しなければいけないことも多く、どうしてもスピード感は遅くなりがちです。
デメリット3:やりたい仕事は回ってこない
うおー!あの部署に行きたい!猛烈に勉強して、資格も取ったし、社内試験も合格したし、これで問題ないはず!
人事さん、僕はいつあの部署に行けますか!
あ、キミね。行きたい部署の枠なんだけど、先輩に譲ってあげてよ。あとキミは来月から北海道に転勤になったから、そのつもりで。
…。(マジで?)
やりたい仕事は回ってこないです。というか、基本的にないものだと思ってください。大手企業なら、そんなものです。
また全国に支店がある大手企業の場合、いきなり転勤で田舎に引っ越し、というケースも十分に考えられます。東京だけで暮らせることはありません。製造業の大手では、ほとんどのケースで工場勤務をやらされるので、人件費の安い田舎町に転勤することは日常茶飯事です。
個人的には、面白い仕事がやってくるのを待つよりも、今の仕事を面白くしたほうが生産的だと思っています。
2.ベンチャー企業のメリット・デメリット
メリット1:仕事は全て自分でやる楽しさ
新人ですが、マーケティング担当になりました。
頑張りたいと思います。
いや、頑張るとかいいからさ。結果出してよ。
今のマーケティング、どこを変えたらいいと思う?
そうですね、まず問い合わせを増やすためにTwitter運用とYoutube運用、あとは電話営業もやってみようと思ってます。
ベンチャーでは、基本的に全て自分でやるのが普通です。担当者が少ないため、大企業のように誰かにお膳立てをすることは少ないです。シンプルに考えて、要点を抑え、あとは実行あるのみです。
事業の規模も小さく、担当者も少ないことは「これは自分の仕事なんだ」というポジティブな意識を持つことに繋がりやすいです。自分でやれるところをやり、ダメなら改善して、行動も変えていく。試行錯誤が好きな人にはたまらないでしょう。
メリット2:会社の理念に共感しやすい
田舎町に活気を取り戻して、いきいきとした街にする。
そんなことがしたいと思って、この仕事をしています!
もっと社会に、自由な働き方を実現する。
私の仕事は本気でそれに繋がると思ってます!
俺の子供が成長した時に、もっと優しい世の中になってたらいいなと、本気で思ってます。
うちのビジネスはそのためにやっているんです。
ベンチャー企業の理念は非常にわかりやすく、何のためにやっているのか把握しやすいです。実際に働いている人も社会に対して何らかの問題意識を持っていることが多く、バリバリ働きます。わかりやすく言うなら、大手よりもやる気がある人がたくさんいる、ということです。
よく、ベンチャーのネガティブなイメージとして「イケイケな社長が遊び歩いている」といったものがありますが、そんな人は圧倒的少数です。ほとんどの人はきちんと仕事に向き合っていますよ。
メリット3:ダメおやじがいない
さらに、強いて言うなら「仕事の出来ない、足を引っ張るダメおやじ」がいません。そもそも採用するメリットがないですし、ベンチャーほどの規模ならそんな人を雇い続けられるほど余裕がないのです。
そのため変な縄張り意識を持っていたり、いらない口出しに悩まされることはほとんどありません。自分でスピード感をもって働くことができます。
デメリット1:将来の計画が立てづらい
何年働いても新卒と同じお給料なんですけど…?
新しいマンションに引っ越したいけど、審査が通らないんだよね。
あと、カードも作れないし。
マジで彼女できないし、結婚もできねー。
ベンチャーに社会的信用などありません。クレジットカードも作ろうとしても審査が通らない、新しい賃貸物件に引っ越そうとしても保証会社が審査を通さず拒否される、さらにあまりの将来性のなさに恋愛ができない、ということもあります(私の実体験です…悲しい)。
そもそも、ベンチャーでは新卒と同じお給料で働くのが普通なんです。成功するベンチャーはほとんどなく、大抵は倒産か解散するだけ。仮に企業が存続するとしても、新卒と同じお給料では結婚しても辛いですし、子供なんて作れませんよね。
なので、彼女・彼氏ができず恋愛すらまともにできない、そもそも仕事の虫…という人はけっこういます。
デメリット2:「強み」が身につかない、転職しにくい
さあ、Twitter運用してフォロワー増やすぞー。
あーごめん、そのサービス変更したから、Twitterいらないわ。
だから明日から営業担当やって。
まじですか…。
「強み」が身につきません。どういうことかというと、仮に転職したくても、他の企業の人に語るほどの強みがないのです。
これには2つ原因があります。一つは、ベンチャーでやる仕事など、企業社会ではショボいお遊戯だということ。もう一つは、スピード感が早すぎてまともに施策が回る前にやめてしまうことが殆どだからです。
例えばベンチャー企業であなたが広報になり、Twitterをうまいこと運用してフォロワーを0人から10万人まで持っていったとしましょう。それは確かにすごいことです。
ですが、殆どの企業にとって「利用料が月300万円のツールを操作できます」の方がTwitterフォロワー10万人より魅力的です。なぜなら、Twitterフォロワー10万人がその企業にとって確実に何かしてくれることはなくても、月300万円のツールは企業にとって確実にメリットを提供してくれるから(だから月300万円もするのです)。
また、ほとんどの場合でベンチャー企業はそこまでやり切れません。本当にお金がなく、スピード感が重要になるので、2年かかって莫大なリターンがかかってくる施策(Twitter10万人やYoutube運用などがそれですね)ではなく、一発で確実ながらショボい施策の方に集中することになります。
また、あなたはほぼ間違いなく2年かけてその成果が出る施策をやりきった経験がないでしょうから、ベンチャー企業からすると「素人が試行錯誤しながらゆっくりやるのを待ってられるかよ」というのが本音です。
なので裁量権があると思っても実は最後までやりきらないので、ショボい経験にしかならない。よって強みも身につかず、転職できない…。というのが、実際のベンチャーの姿だったりします。
デメリット3:経営陣がアマチュア
ウチはあと2年でマザーズに上場します!
(↑そう言い続けて5年目)
死ぬ気で働け!できないヤツは来るな!
俺たちの熱い思いがあれば、きっと未来は開ける!
こういうことばっかり言う人ってよくいるんですが、ぶっちゃけ素人ですよ。アマチュアの経営陣です。
こういう人たちは実際に企業などで稼いでいる人達と身近に働いた経験がないため、チームワークの経験が薄く、マネジメントもめちゃくちゃなことが多いです。そのため部下を平気で潰したり、とんでもないミスを平然と犯すことも少なくありません。いわば小さい自分の世界の中で吠えているだけです。
正直、お金が稼げていない時点で発言権はないのですが、それでもしがみついてああだこうだ言う人は、宗教の教祖役かネットワークビジネスの方が向いています。3-5人くらいのビジネスをやっているベンチャーで、学生が社会人を「しっかりした人かどうか」を見極めるのは困難です。正直、止めたほうがいいと思います。
大手かベンチャーかではなく「金があるところ」
これまで長々と、大手とベンチャーの違いとメリット・デメリットについてお話してきました。では、筆者なりのおすすめはどれなのか。
それは
大手でもベンチャーでもいいから、100億円単位のお金のあるところに行くべし
です。
二人のコーチのたとえ話
ここでたとえ話をしましょう。二人のスポーツのコーチがいて、それぞれAさんとBさんとします。
Aさんは豊富な経験を持っていて、指導するために使える知識や、トレーニング器具も沢山提供してくれます。スポーツ界で知り合いも多く、プロ選手をしているお友達も沢山紹介してくれるコーチです。
Bさんには全く経験がありません。それどころか知識も、トレーニングのための器具も、スポーツ界での知り合いもいません。ただ、モチベーションだけはやたら上げてくれます。トレーニングすると幸せな気分になれます。
さて、あなたはどちらのコーチにトレーニングをお願いしたいですか?
…普通、経験豊富なAさんではないでしょうか。
お金があれば、良いコーチがつく
企業では、お金は文字通り「体力」です。
お金があれば良い人を雇えますし、良いツールを使えますし、良い設備を使えます。だいたいどんなこともできるのです(赤字の事業を続けることもできる)。
体力のある経験豊富なコーチと同じで、お金のある企業は新卒というメンバーに沢山の豊富な経験を積ませてくれます。大企業という看板で人を紹介してくれますし、月数百万円のツールも使わせてくれます。それで新卒の基礎体力を上げてくれるのです。
ベンチャーというカオスな世界に行くのは、基礎体力を上げてからでいいと思います。確かに大手は、意味不明なこともたくさんある世界です。が、スポーツでも最初は新人にとっては意味の分からないトレーニングを沢山やるのと同じです。どうしても耐えられないのであれば辞めればいいのであって、きちんとしたコーチのもとでトレーニングを積むこと自体はとても重要です。
その「きちんとしたコーチ=企業社会の中できちんとした人」がいるのが、だいたい100億円くらいの金額が動いている企業からです。正直100億円以下なら、企業社会ではそこまで大した金額ではないからです。
時価総額でも、売上でも構いません。最低でも数百億円規模の企業に行ってください。ベンチャーでも上場企業でもどっちでもよいです。ただ、そのくらいの金額を持っている企業であれば、あなたをきちんとお金をかけて育成してくれます。必要な基礎体力をつけてくれるのです。
あなたの体力を上げてくれるだけの、豊富なお金がある企業かどうか。
これが判断の分かれ目になると筆者は考えています。
お知らせ:元上場企業の人事が就活の裏情報をこっそり配信中
いかがだったでしょうか。今回は大手とベンチャーの違い、そしてどんなところに行くべきか、というお話でした。
…ただ、就活において、必要な情報・使うべきサービスは時と場合によって変わるもの。今後も様々な悩みがあるでしょう。
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