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「好きなことを仕事にできる?」天職ってなに?その探し方と、リアルな姿の話。

就活初心者向け
大学生
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せっかく就職するなら、天職を探したいよなあ。

大学生
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あーあ。天職が見つかるといいなあ。

就活生や転職希望の方なら、このように考えることがあるはず。
私もかつては就活生でしたから、その時は「やっぱり天職みたいな、楽しい仕事に就きたいよなあ」なんて日々考えていました。

それから時間も経ちまして、それなりに仕事の経験を積んできました。そして分かってきたことがあります。結論から言うと、天職って探すものじゃないんです。というか、探すと逃げます。

でも、この文章を読んでいる皆さんは天職に興味がありますよね。そもそも天職って何なのでしょうか。探したら本当に逃げるものだとして、一体どうやって見つけるんでしょうか?

そこで、私なりに天職について思うことをまとめていきます。

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そもそも天職とはなにか

天職とは「人よりも圧倒的なこだわりを持ってできる仕事」です。

私が「ああ、この人は天職を見つけたんだな」と思った人はいままでに何人かいます。
そのうちの一人は、どこから見ても普通の中年女性でした。…「レシートからの文字入力が異常に好き」という一点だけを覗いては。

レシートの束なんて、普通の人には鬱陶しい存在です。用が済んだらすぐにゴミ箱行きになりますよね。
ところが、彼女は違うんです。彼女は文字通り、朝から晩までレシート入力の仕事ができます。あまりにもレシート入力が好きすぎて、家でもレシートを揃える副業をやっているそうです。休日なしで、土曜も日曜もレシート入力です。…普通じゃないですよね。

もうひとりはエンジニアです。
これはかなり変わった人で、普通のサラリーマンにあるような社会的な能力はほぼない。ところが「危ないプログラム」を見つける嗅覚が尋常ではなかったんです。普通のエンジニアなら無視するようなわずかなエラーメッセージから、システム全体の脆弱性を暴き出すのが得意でした。3週間同じエラーをたった一人で追い続けて、最終的に自社の主力巨大サービスをダウンさせる脆弱性を見つけたことが何度もあります。

…いずれのケースも、共通しているのは「ある一点に対する異常なこだわり」です。
例の女性ならレシート入力、エンジニアならエラーに対する執着ですね。仕事に対して「誰も真似できないレベルの、人より圧倒的に秀でたこだわり」を持てるなら、それは天職と言えるでしょう。

やっていて毎日楽しいのは、天職ではない

圧倒的なこだわりを持って続けられるのが天職です。
この定義に従うと、世間で言われているような「天職のイメージ」は実は天職とは違うことがわかります。

そう、実はやっていて楽だったり、ひたすら楽しいのは天職ではありません

天職に就くと「毎日仕事をするのが幸せ」とか「刺激に溢れたジェットコースターに乗っているような仕事」「毎日が幸福」だと思われていますよね。
…ですが、本当は違います。

それどころか、天職に就いていても辛いことだらけです。
例として、スタジオジブリの宮崎駿監督を挙げましょう。日本を代表するアニメーターであり、宮崎監督にとってアニメが天職なのを疑う人はいないでしょう。
ところが、ご本人は全く違うことを仰っているのです。以下のインタビューを見てみましょう。

文字を書き起こしておきます。

Q.
宮崎さん、一度引退されると宣言されたじゃないですか。
それを撤回してまた作業されているのに何か理由があるんですか?

A.(宮崎監督)
理由なんかないですよ。またやりたくなっただけの話なんですけど。

(中略)

…というよりも、本当に引退したくなるんですよ。これ本当なんですよ。

ところが何年か経つとやってみたくなるんだよね。しょうがないよね。またですか、って感じですけど。毎回いい加減に決めてるわけじゃないんですよ。これは体もたないし、よれよれだって。

それで時間ができると、うろうろ歩き回って。だんだん体調が整ってくると「やってないことがある」とかね。「この領域に俺、全く手を出していなかったな」と思ってと言っているうちに、できるかもしれないと思い始めたのが運の尽きなんですよね。

※句読点や強調は筆者による。

要約すると、以下のようになっています。

  1. 本気で仕事をする
  2. あまりにも辛くて、投げ出してしまう
  3. それでも「まだやってないことがある」と思いつく
  4. 自分を抑えられず、辛いと分かっている仕事に戻る

私が知る限り、これが天職に携わっている人のリアルな姿です。

某巨大システムの脆弱性を見つけ出した例の凄腕エンジニア。彼はまるでハリウッド映画の登場人物のように、数十秒でシステムを崩壊させるコードを見つけ出した…なんてことはありません。

彼は3週間もの間、ひたすらモニターとキーボードにかじりついて試行錯誤していただけなんです。「これなら上手くいくだろう」「だめか。なら、これなら?」「これもだめかー。でも、一つ分かったぞ」「あれ、やっぱり違うのか…」こんなことを言いながら、仕事をしていたはず。

もちろん、途中で全く思い通りにならず、投げ出したくなったことも何度もあったはずです。ただ、それでもふと「いや、これはまだ試してないな」と思いつき、また仕事に戻っていく。

もっと分かりやすく言うなら、ゲームでラスボスを攻略している感覚と一緒なんです。負けて、違う方法を試してまた負け、また別の戦術を立てて、また失敗する。万策尽きて投げ出した時に、また別の方法を思いつき、負け戦をしにいく。こういう感覚です。

たった1%が楽しいから、天職を続ける

では宮崎監督も、ゲーマーも、凄腕エンジニアも、なぜ途中で投げ出さないのか。
不思議ですよね。しょせん仕事ですから、辛いなら辞めればいい。しかも、辛いのは自分でもよく知っているんです。なのに彼らは決して辞めない。なぜでしょうか?

理由は簡単。
彼らにとって、成功したごく一部の時間がとんでもなく楽しいからです。

天職を見つけた人にとって本当に楽しい時間は、全体の1%にも満たないかもしれません。
ゲームの例でいえばラスボスに挑んだ回数のうち、本当にラスボスを倒せた最後の一回はプレイ時間で1%にも満たないでしょう。でもその1%が超楽しいから、止められないんです。そして、さらに強いボスを探しに行く。もっと辛くて苦労するのは知っていても、止められません。

ほとんど毎日失敗して、最後に一回だけうまくいき、その成功に病みつきになる。
これが天職に就くということなんです。

天職に就いた人ほど「失敗」で苦労している

実はミュージシャンや発明家、スポーツ選手のような「才能のある、天職に就いた人たち」すら、普段からひたすら失敗しています。歴史上の偉人ですらそうなのです。
それは、失敗に関する名言の多さを見ればわかります。

沢山人よりも失敗する。でも成し遂げたいからまたやる。あとは失敗を美化する(本田圭佑/サッカー選手)

9000回以上シュートを外し、300試合の勝負に敗れ、勝敗を決める最後のシュートを任されて26回も外した。人生で何度も失敗した。それが成功の理由だ(マイケル・ジョーダン/NBA選手)

成功と失敗の一番の違いは途中で諦めるかどうか(スティーブ・ジョブズ/起業家)

私の最大の光栄は、一度も失敗しないことではなく、倒れるごとに起きるところにある(本田宗一郎/起業家)

9回失敗しないと、なかなか1回の成功が手に入らない(山中伸弥/ノーベル医学賞受賞者)

失敗なんかしちゃいない。うまくいかない方法を七百通り見つけただけだ(トーマス・エジソン/発明家)

スポーツ選手、学者、起業家、発明家、歴史に名を残す偉人に至るまで、実はラスボスと戦って諦めなかっただけの人たちでしかない。そのことがこれらの格言から伝わってくると思います。

天職に就くから毎日が幸せ?
そんなのは嘘です。本人からすれば、失敗続きでひたすら惨めだったでしょう。私達はその失敗のうち、ごく1%の成功しか知らないので「きっと毎日が楽しいんだろうな」と思ってしまうだけなのです。

それでも天職を探しているなら「何が幸せか」を考えよう

それでも、天職に就きたい。
辛くてもやりがいのあることにのめり込みたい…そう思っている方も多いはず。では、どうすればよいのでしょうか。

一つだけ確実なのは、「自分が何に喜びを感じるのか」を良く知っておくとよいということです。

一つの発明に700回失敗しているエジソンが、仮にサッカーやバスケをしたらどうなるでしょうか?確かに、エジソンは意志の強さや根性で比較すれば、マイケル・ジョーダンや本田圭佑と同じレベルかもしれません。ではエジソンも偉大なバスケ選手やサッカー選手になれたでしょうか?
おそらく違うでしょう。なぜなら、エジソンは発明に喜びを感じるのであって、ダンクシュートが嬉しいわけではないからです。

つまり、人によって「何を嬉しいと思うのか」はまったく違います。周囲の人が嬉しいと思っていても、あなたが嬉しいとは限りません。
褒められるのが嬉しい?レベルの高い人と働けるのが幸せ?自分を表現するのが嬉しい?それとも、単純に社会的なステータスの高さがほしい?などなど。人によって、心の底から喜べることは違います。

自分がどんな時に「超嬉しい」と感じるのかをよく知っておきましょう
仕事は9割以上、ただの作業の連続でつまらないんです。それでも楽しい要素は1割くらい詰まっている。その1割に人の何倍も幸福を感じるのであれば、人の何倍も続けられますよね。それが天職なんです。

この文章を読んでいるのが就活中の方だとしたら、きちんと自己分析を行ってください。どんな関係性の人から、何を言われると嬉しいのか。どんな人達と一緒に仕事ができたらいいのか。こういったことを、言語化していってください。

そのための自己分析のやり方については、以下の記事で紹介しています。
自分の嬉しいと思うことを、詳しく知る。それが「好きなことを仕事をする」最初の第一歩になるはずです。

そして内定を一度貰ったら、仕事を楽しむこと。
仕事の9割はつまらないでしょう。でも1割は楽しいはず。その1割を、超楽しみましょう。それこそ麻薬のように、シャブりつくしてやるべきです。
そのうち段々楽しくなって、辛いと分かっていてものめり込んでしまうなら…それがあなたの天職。あなたも立派なジャンキー仲間です!

もちろん、最初の仕事や部署が天職だとは限りません。
そんな時は、なぜ失敗だと思うのかをきちんと言葉にする。そして、どこか楽しめる要素はないか考える。転職を考えるよりも、今の仕事を楽しむことのほうがよほど生産的です。

…それでも駄目なら、失敗ですね。
でも、大丈夫です。失敗を繰り返してきた偉人たちが言うように、失敗そのものは大したことではないのですから。そこから学んで、何をするか。それが重要です。

あなたが転んでしまったことに関心はない。そこから立ち上がることに関心があるのだ(エイブラハム・リンカーン/米大統領)

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