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大企業や日本社会が嫌な人ほど、大企業に入るべき理由

就活苦労人向け

就活とか嫌!
そもそも日本の就活システムがクソ!
さっさと日本を脱出したい!

そんなことを考えている大学生の方。おそらく、それなりにいるでしょう。

かくいう私も、そう真剣に考えていた時期がありました。あまりにも就活が嫌だった私は、アメリカ留学に行って卒業を遅らせたり、就活でも「大企業のサラリーマンはつまらない」という理由だけで規模の大きな企業を避けたり…(余談ながら、ベンチャーに入りたがる学生はこういう人が多いと思います)。
そして有言実行ということで、実際にサラリーマンを辞めフリーランスになり、複数の企業で渡り鳥のように都合よく生きていたこともあります。

…が、今はとある考えから、大企業の正社員として働いてます。
「日本社会はシリアスにクソ」派だった時から、どういう思考の変遷があったのか?というお話を今回はしていきます。

ちなみに大企業に入ったのは「収入が安定するから…」みたいな、お金の話が原因ではありません。もっと別の理由があります。

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日本の大企業がなぜクソ(に見える)のか

大企業を嫌悪しがちな学生が、大企業に対して持っているネガティブなイメージ。
それは、例えば以下のようなポイントではないでしょうか。

  • 年功序列で、いくら頑張っても若者は評価されない
  • 同じようなスーツばっかり着て無個性
  • いつまでも差がつかない横並びの給料
  • 同じ課やチーム内では無駄に仲良くしなければいけない圧力

…これは、日本企業の問題点とよく言われます。就活生のみなさんも、ニュースサイトなどでそういった論評を見たことがあるかもしれません。こういった日本の企業にありがちな姿は「メンバーシップ型雇用」と言われます。

コレに対し、海外の企業は違うよね、とよく言われます。具体的には

  • 年功序列は(あまり)ない
  • 必要ないならスーツを着なくていい
  • 仕事ができるなら若くても給料が上がる
  • 同僚と無駄に仲良くすることはなく、仕事が終わったらさっさと帰ってしまう

これは「ジョブ型雇用」と言われ、決められた仕事さえこなしていれば評価される、という姿です。それぞれの人が決められたことをやっていればいいので、そうすれば早く帰っても文句はないですし、給料も差がつくのは当たり前だ…というわけですね。

実は日本企業も、ジョブ型にそれなりの憧れはあります。そしてこれからはジョブ型の時代だ!とよく言われているのも事実。
例えば最近では日立がコロナの影響を受けて、これからはジョブ型に移行すると発表しています。大企業嫌いとしては、ちょっと期待しますよね…?

大学生
大学生

無駄に無個性な大企業の働き方はもうなくなるんだ!
イエーイ!

…まあ、そう考えるのはちょっと待ってください。
「ジョブ型雇用の時代が来た論」は10年に一回くらい出てきて、毎回知らない間に消えていくバズワードなんです。つまり日本では「ジョブ型雇用」という言葉が、何かを変えたことは殆どありません。筆者が知っている限りでは、90年代くらいから30年間くらい同じことを言われていて、未だに何も変わってません笑

なので、就活生や大学生のみなさん。期待するのをやめましょう
十中八九、みなさんがこれから就職して体験するのはメンバーシップ型の雇用です。残念ながらコロナ後でもそうでしょう。それくらい根深い問題なんです。

なぜ、そこまで変わらないと言えるのか。
筆者は、日本の産業界全てが「製造業メンタリティー」に支配されているからだと考えています。根本的にここが変わらないと、メンバーシップ型採用も決して変わらない。そう考えています。

日本を支配する「製造業メンタリティー」とは?

ここで言う「製造業メンタリティー」とはなにか?

「全産業で製造業が最強」とか、そんな話ではありませんし、ましてや製造業を非難したいわけでもありません。

もっとずっと根深く、(筆者も含めて)日本に住むほぼ全員が何らかの形で普段から影響を受けているあるモノのの見方・考え方のことです。

これをきちんと理解するには、まず「製造業の現場の考え方」を知る必要があります。

製造業の現場では、一人のミスが人命を奪う

まず、日本を代表する産業である製造業の現実。
それは「製造業では、一人のミスが人命を奪う」という現実です。

製造業の工場には、物理的に危険なものがいっぱいあります。例えば、数百トンの出力があるプレス機などはそうですね。もし間違ってプレス機の下に入ってしまったら、人間などひとたまりもありません。
他にも高所作業では安全帯をつけなければ死の危険がありますし、危険物質を間違って取り扱うと有毒なガスや液体が発生して人の命を奪います。製造業の現場は、死と隣り合わせなんです。

そんな現場では、人の個性など認められません。製造業の現場で個性を発揮されたら、ミス連発で誰かが死にます。社会的な死なんて甘いものではありません。そこにあるのは、一人の人間の生物学的な死です。

だからこそルールを徹底する必要がありますし、時間通りに物事を動かすことが重要なのです。一人ひとりにとって無駄に思えることでも、全員の安全に繋がっている。製造業では、そんなことばかりです。個性ではなく「まずはルールを守れることありき」なのですね。

メンバーシップ型雇用を作る「製造業メンタリティー」

「それがどうした。今までのメンバーシップ型とジョブ型の話と関係なくね?」と思っている方。実は、これが関係大アリなのです。
なぜメンバーシップ型雇用の特徴である「新卒一括採用」や「横並びのお給料」、そして「年功序列」を生むのかを説明しましょう。

まず製造業の工場には、それなりの人数が常に必要になります。
たったの数人では工場の運営はできません。数千人という人が必要です。そんな工場では、常に数十から数百人という、沢山の新人を採用する必要があります。ただ、工場には予め決まった生産計画があるのが普通。バラバラの時期に、バラバラに新人に入られるのが一番困るのです。
なので、新人は大量に一括採用をして、一斉に入れます(新卒一括採用)。

その新人(つまり素人)に全員に平等なルールがあるということを理解させるためには、待遇を横並びにするのが最も効果的です。
…待遇が違ったら大変です。待遇が良い方はルールを守らなくていい、という関係性が出来てしまいます。今の世の中でも契約社員や派遣社員を見下している正社員が多いことからも、待遇を揃えることの重要さがわかりますよね。
これが新人全員の横並びのお給料です。

さらに、工場で行う処理や仕事は経験によって、ある程度は効率化できます。ずっと同じことをやっているのですから、慣れると良いものが早く作れるようになる。なので年功序列ということにして、年を食っている人間に給料を与えます。

…そう、日本企業の特徴である「新卒一括採用」「横並びのお給料」「年功序列」は全て、製造業からすると非常に合理的な仕組みなんです。日本企業の特徴と呼ばれる雇用のあり方は、製造業が根本にあるということです!

「製造業メンタリティー」が他の産業を支配する

そして、この製造業の特有の考え方は、他の産業でも導入され、行われるようになりました。主に戦後のことです。

戦後日本の成長を牽引してきたのは、疑いようもなく製造業です。1950年代からおよそ半世紀もの間、日本の製造業に人もモノも金も集まり、発展し、大成功しました。なので他の産業もみな製造業の真似をしたのです。それにより、この「製造業が作り出した企業文化」は、金科玉条となってあらゆる日本の産業に輸出されました

分かりやすい例は人材派遣業でしょう。
人材派遣業にとって、製造業は言うまでもなく超大口顧客です。人手が足りていない工場長から「○月✗日までに、△△人が必要になるから集めてきて」と言われるのが、古典的な人材派遣のあり方。そういった環境では、とにかく人を集めてくるのが出来るヤツであり、出来る会社だ、ということになります。

そこにはやはり個性はありません。工場を稼働させたいのですから、人による個性など最初から要らないのです。とにかく無個性に、モーレツに人を集められる営業マンがいれば会社は儲かり、そういった営業マンが沢山いる会社は大儲けできます。
まさにそれがかつてのリクルートでした(リクルートは日本最初期のベンチャーであり、営業マンが非常に強い会社です)。

似たようなことが、人材派遣業のみならず、あらゆる関係産業でも起こっていきます。「無個性に人を扱い、金を儲けるのがビジネスであり、会社なんだ」という製造業の考え方は高度経済成長期に日本のあらゆる産業に浸透していったのです。

「製造業メンタリティー」が日常生活を支配する

さらに、それだけではありません。ビジネスがそうなのですから、日常生活における文化にまで、製造業発祥の考え方が浸透していきました。

例えば、電車が時間どおりに来るのが当たり前だ、という考え方。
例えば、電話は3コール以内に取るのがよい、という考え方。
例えば、サービスを提供する企業はミスをしてはならない、という考え方。

こういった考え方は、全て製造業における考え方が発祥です。

時間どおりに部品が来ないと工場は止まりますし、3コール以内で出ない電話は緊急連絡時などに困ります。そしてもちろん、ミスはよくないことです。人が死にますからね。

こういった「製造業の常識」が、もはや製造業とは関係のない日常生活にまで染み込んでいきます。それは製造業があまりにも強く、お金も勢いもあったからに他なりません。もはや製造業の考え方は、どんな産業であっても守られる「メンタリティー」となって普及したのです。

それと同じく「新卒一括採用」は製造業でなくても当たり前になり、「横並びのお給料」「年功序列」は社会常識になっていったのです。

一方の海外では、製造業は日本ほど勢いがありませんでしたし、製造業特有の考え方が日本ほど社会を変えることもありませんでした。なので海外の電車は今でも平気で遅れてやってきますし、企業の対応もテキトーなことが多いのだ…と筆者は考えています。

「とりあえずやってみよう精神」と相容れない日本

ところが、そんなテキトーな海外文化から生まれた産業が、いま世界中で大注目を浴びています。それがGoogle、Apple、Facebook、Amazonなどの情報産業です。

情報産業は「とりあえずやってみて、ミスがあったら改善する」という考え方から生まれました。「完璧に準備して、絶対にミスを起こさない」という考え方の日本の「製造業メンタリティー」とは真逆なのです。

そもそも、現代における情報産業とはカリフォルニアに集まったオタクたちが、好き勝手に機械をつなげて遊んでいたのが始まりです。当時は分からないことばかりであり、いわば専門家不在、アマチュアしかいない状態でした。あのスティーブ・ジョブズも、そういった「試行錯誤でミスばかりする」アマチュアのコミュニティーに育てられた人物の一人です。

その血をひいた現代の情報産業の巨大企業でも、「とりあえず作ってみて、ダメなら後でひっこめる」ということを沢山やっています。例えばGoogleは、今でも沢山のサービスをリリースしては潰しています。

一方の日本企業は、そんな考え方は全く理解できません。日本の大企業たちは「完璧にミスのない計画を練り、それを着実に実行する」ことが重要だと心の底から信じ込んでいます。そして、計画どおりにいかないというミスは、そのまま計画者の社会的な死に繋がります。なぜなら「製造業のメンタリティー」では、何かが計画どおりにいかないということは、そのまま誰かが死ぬということだから。

もちろん、現代の大企業で事業が失敗したからと言って、誰かが生物的に死ぬことなどありません。なので日本企業が製造業のように極力失敗を排除しようと努力することはすでに実情に見合っていないのです。雑でもよいので小さく始めて、少しづつ成長させればよい。ところが、こういった考え方は「おおよそ大企業のやることではない」という理由で否定されます。これがまさに「製造業メンタリティー」なのです。

よって、日本はGoogleやAppleがやっているサービスを表面的にしか模倣できません。後になってそれなりに儲かることが分かり、必死で模倣していると、その間にGoogleやAppleが先に行ってしまう。なので、いつまでも二番手にしかならないという状況に陥っています。
日本人お得意の「完璧に準備して、絶対にミスを起こさない」製造業メンタリティーは、現代のビジネスには全く見合っていないのです。

「製造業メンタリティー」に対し新卒がやれることは?

つまり、製造業に端を発する考え方が日本を支配しており、それは日常生活の考え方に至るまで影響が及んでいます。なので「ジョブ型採用を採用します」なんていう上っ面だけを取り替えても、中身は変わっていないので徒労に終わるんです。

極端な話「本気でジョブ型採用を導入する」ということは、「あなたが普段の電車が平気で遅れてくるのを許容する」くらい大変なことです。そのくらい、自分の当たり前・常識を変えていく必要があります。そして、このような劇的な社会常識の変化は数年では起こりません。たとえコロナがあっても、十年以上はかかるでしょう。

なので、この文章を読んでいる就活生のみなさんは、冒頭でも書いた通り「まず間違いなく、メンバーシップ型雇用の支配下に置かれます」。横並びのお給料のお給料に耐え、同じようなスーツを着て、年功序列を我慢する必要があるでしょう。

でも、だからと言って一生我慢する必要はない。
新卒のみなさんにもやれることは、一つだけあります。それは「古い価値観の中で圧倒的な結果を出してから、周囲を説得して変える」こと。結局は、それが一番の近道です。

実はGoogleやFacebookも、似たようなことをやっています。彼らは創業以来、あらゆる産業から何十年間も馬鹿にされ続けてきました。最近になり、ようやくとてつもない金額を動かせる存在になったことで、一目おかれる存在になったのです。いまや、シリコンバレーのやり方は日本企業ですら必死で模倣しようとしています(出来てませんが)。

この話の教訓は、一つだけ。

学生のみなさんは、本当に日本の大企業文化がクソだと思うのなら、
外野から文句を言うのではなく、中で結果を出して変えましょう。

そのほうが楽しいですし、お金にもなります。大企業から目をそむけてベンチャーに逃げても大企業は変わりませんし、大企業が変わらないということは日本の企業文化も変わりません。

実は、私がベンチャーやフリーランスという渡り鳥やめて大企業に戻ってきたのもそれが大きな理由です。きちんと結果を出して、そこから日本の不合理な企業文化を変えていきたい。本気でそう思っています。

結果なんてのも、所詮は手段に過ぎません。ですが、どうしても必要ならば、必死でやる必要があります。日本企業がクソだと思うのであれば、大企業に入り、必死で結果を残してみてください。そうすれば、少しづつ思い通りになるはずです

前述の通り、筆者も筆者も就活を心底アホらしいと思っており、就活生時代は嫌悪していました。そのために無駄に落とされたり、周囲に乗り遅れることも沢山ありました。
なので、同じく就活を嫌悪する人を救いたいと思っています。その問題意識を良い方に活かせば、きっと素晴らしいことが成し遂げられるはずです。

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